クラフトマンシップ。
こんにちは。1LDK annexの杉浦です。
今年は僕自身色々変化があり、普段よりも時間の経過が早く感じました。何よりもannexに入社してから、自分が知らなかった服の魅力に気づく経験が多くでき、自身の好みの変化があった年です。その中でもこの「ブログ」を書き始めてより服と向き合う時間が増え、その中でブランドの方々とお話しさせていただく機会もあってこれまで以上に服の沼にどっぷりとハマっていきました。今回は、その具体例の一つをご紹介します。
まずはブランドのルックからご覧ください。
1st collection
以前、店長西脇からブランドについてのブログがありますのでブランドの世界観などはそちらを見てみてください。
ブランドのファーストシーズンとなる今回のルック写真は米軍研究施設で1960年代後半から1980年代前半にかけて研究されていたユニフォームテーラリングの記録として撮られた写真に着想を得ています。10月の最初にブランド初となるpop up を annex にて開催されたのですが、その際にデザイナーの上田さんが記録本を持ってきてくださり、僕も生で見ることができました。
上2枚の写真が先ほど説明させていただいた記録用として撮影された写真を纏めた本の一部になります。ファッション用として撮られた訳では全くないのですが独特な雰囲気があり、カッコよかったです。ルック写真に用いられている白バックからはみ出ている機材の雑な写真や服の可動域をテストしている写真など実際にそのような写真が記録に残されており、そこから引用しているそうです。ルック写真だけでも見応えがあり本当に面白いのは、上田さんのこだわりのある丁寧な服作りが根底にあるからこそだと思います。
一番最後の写真は上田さんが持ってきてくださった資料になります。ブランドの核となる「長く繋がる服の歴史にとって重要な遺産であり、誰もがその相続人」の着想を得ている本であったり、ブランドタグにも用いられている買った人が作り上げるタグの元ネタであったりそして上田さんが感じたことや服に対しての思いなどが綴ってあるノートなどなど。
博物館に展示されるレベルの書物もあったりしてとっても良い経験ができたなーと改めて感じました。上田さんの人柄もそうですが、ブランドの創り込まれ方そして実際に服を作り出す工場の方々との関係性などとてつもないほど濃いお話を伺えたのでより一層YOUTH OF THE WATER というブランドが好きになりました。
まだまだ語り尽くせないほどのお話を二日間でお聞きしたので知りたい!という方は是非店頭でお待ちしております。
ではそろそろアイテムのご紹介に移ります。
size : M / L
col : CHARCOAL
¥118,800-(tax in)
size : S / M / L
col : CHARCOAL
¥79,200-(tax in)
米軍のCPOジャケットをベースに作成。ミリタリーウェア特有の効率良く縫製をするという考えから、袖から脇線を一発で縫いきるオリジナルのパターンカッティングを採用しています。
共生地でセットアップとして作成して、ウエストにアジャストベルトが付属しているパンツもご用意させていただきました。
こちらの写真が今回のジャケットの元ネタになるCPOジャケットです。こちらのオリジナルは布帛が使われているのですが、インラインで展開されているのは別注糸を使用したミルスペックニットカルゼです。ウールとハイバルキーアクリルを混紡した糸は、染色時の熱により縮れて中に空気が入る事で、膨らみ・かさ高性が増し独特なカルゼになります。軽く・保温性がある為、冬の着用には最適です。
個人的にはこのふっくらとした質感の方が好きでニット地には見えない詰め方なのにオリジナルの布帛には出せないニット感がある独特な雰囲気が野暮ったくならず柔らかい印象になっています。
縦糸と横糸が直角に交わり平面的に連なって面を形成する平織りとは違って、ループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて連続してループを作り面を形成するやり方の「編み物」なので、柔らかくて通気性もよくシワになりにくいものになっているのです。
生地のこだわりもとてつもないことは確かですが、今回は「仕立て」に着目してご紹介します。主にテーラリングで用いられることがメインのフラシ芯を襟やカフスの芯地に使用。なんのこっちゃと言わんばかりに難しい説明かと思いますが、まず芯地のご説明から。
芯地とは、表地と裏地の間に特殊な生地を挟むのですが間に挟まれているのでパッとは確認できません。なぜ見えないものが使われてるのかは、主に着用による型崩れを防ぐための寸法や形態を安定するためであったり、部分的に厚さや硬さを与えて衣服に重厚感をもたせるためであったりなど他にも役割があるのですが、一旦頭がパンクしそうなのでやめておきます笑
テーラードジャケットなどにある肩パッドの役割に近いイメージで大丈夫です。
そんな芯地にフラシ芯という布地を使用しているということです。このフラシ芯は縫製のみで付けるのが特徴で、着心地が良く生地の凹凸や陰影が綺麗に出る側面も兼ね備えています。テーラリングの工場で頼み込んでお願いをして作成に至ったそうです。
とにかくミリタリーベースのアイテムをオーダーメイドのテーラリングを使って作ったのが今回のアイテムになります。現代でしか実現できないミリタリー×贅沢な仕立てなのでブランドならではのこだわりを感じられます。
パンツでも変態と言わざるを得ないこだわりが隠れています、、。
「尻シック」というパンツの内側の股からおしり部分につける当て布をつけており、三角形に見える部分が尻シックになります。
パンツで最も負荷がかかるのが股間部分になるのですが、日常生活を送るだけでも摩擦によって生地が薄くなってしまわないように耐久性を保つために施されています。
こちらも高級テーラーやオーダーメイドの仕立てによく使用される方法になります。デザイナーの上田さんご自身が工場に赴き、現地で作業している方々とコンタクトを取りながら自分の目に届く納得のいく生地のみを採用しています。簡単に言ってしまいましたがこれは本当にすごいことだと思います。これをこうしたいとお願いできる工場の方とのパーソナルな関係性、そして現地まで赴く行動力。素材にこだわったブランドさんは他にもありますが、あの年齢であそこまでのクオリティを担保できる人間性がかっこいいなと素直に思います。(店長西脇と同い年)
熱量で押し切るような書き方になってしまって読みにくかったと思いますが、スタイリングに移りたいと思います笑
175cm / jacket : size L / pants : M
inner :O.E.M. “HAND WARMED CREW NECK FLEECE”
shoes : ROA “CHELSEA BOOT”
セットアップでの着用は、前店長鈴木に着ていただきました。若造の僕には出せない渋さが際立ってますね笑
元々CPOジャケットは防寒作業のために作られたので、身幅を広くとって厚みを出しており、完全にアウターとして活用して大丈夫です。鈴木はインナーにフリースを着用していますが、ストレスなく着用できていました。スウェットやニットなどインナーを重ね着してもジャケットの形が崩れないのはテーラリングの工場で仕立てた賜物です。
なぜテーラリングの仕立てを採用しているのか疑問に思って上田さんに尋ねたところ、60年代後半の米軍服研究所で働いていたチームの中にテーラーの方が在籍をしていたからだそうです。ですがそれだけではなく、youth of the water のアイデンティティであるクラフトマンシップと通ずる側面もあるそうです。テーラリングなどの仕様を参考に制作する物作りはまさにyouth of the water らしいと言えると思います。現役の江戸甲冑師である祖父の影響もあり、職人気質な上田さんの虜に僕はなってしまっています笑
カラーリングは今シーズン一押しのチャコールをセレクトしています。ネイビーと合わせるとより小慣れて見えますし、黒でシンプルにスタイリングを組んでも相性が抜群なので黒好きの僕からしたら気分転換もできるので最高の一着。
裏地では、半裏をつけて仕立てよく仕上げています。
これもまたニッチな話になりますがこの半裏の素材、、、実はインラインで展開しているシャツと同生地になっています。
2枚目の写真がインラインで展開されているシャツになります。annexではこちらの別色のブラックをセレクトしていたのですが即完してしまったのでpop upの際に上田さんが持ってきてくださったキナリのカラーの写真になっています。この生地だけでもアイテムとして成立するところを裏地に使うというとてつもないことをしているのですが、もう感覚が麻痺してきて上田さんらしいなと感じるようになってきました笑
ではお次はパンツ単体で。
165cm / pants : S
色々言いたいことはあるのですが、もうとにかくシルエットがドンピシャの好みです。即完してしまった同ブランドのデニムにも言えることですが、身長が低い僕でもスラッと綺麗に履きこなせてしまうのです。僕と同じくらいの背丈かそれよりも2.3センチ前後の方は断然 Sサイズがおすすめ。
ウエストについているアジャスターをフル活用でベルトいらずでした。ストンとストレートのシルエットで裾幅も広く設定されており、靴にワンクッション溜まってくれるのが今の気分なのでたまらないです。
パンツのディテールは古着を参考にして設計されているそうで、ここまで綺麗なシルエットに対して大ぶりなバックポケット1つというポップさも兼ね備えているのですが、これもまた絶妙な塩梅でクラシックな雰囲気はあるけれどどこか気の抜けた印象になっています。
ポケットの裏面には当て布をつけて強度を高めているのでガシガシ穿けてしまいます。ジャケット、パンツともに言えるのですが、デイリーに着用し続けられる仕様になっているのでとりあえずこれ着とくか!と思えるアイテムです。
最後は金澤にジャケットを着ていただきました。
178cm / size L
この太めのデニムとの合わせ、めちゃくちゃ好みでした。繰り返しにはなりますが、ニットと合わせても嵩張らずにそしてジャケットの形も崩れません。大ぶりな襟とポケットがカジュアルに見せてくれるので本当にちょうどよくかっこよく着ることができます。
アームも程よく太く、可動域を広げる作りにしているのでジャケット特有の動きにくさは全くありません。やや大きめの畝が保温性も高めてくれ、尚且つ肌触りが気持ちいい。
いわゆるシャツジャケットまで軽く見えないのが今回推したいポイントの1つで、パッと見では感じることができないニット感と程よい重厚感がトップスではなくアウター感を醸し出してくれています。
長く繋がる服の歴史の中で誰もがその相続人の考えを持つ上田さんは、その服を買って終わりではなく買った人も責任を持って着ていくことが大切だと感じていて、このブランドのタグも同じように買った人が完成させるというのはこう言った意味合いも含まれているのではないかと思います。
今回は以上になります。
なかなかボリュームのある内容になっていますが、少しでも気になる方は是非店頭でお待ちしております。
シンプルにかっこいい、そして長く使用できる今回のセットアップは上田さんのクラフトマンシップに溢れていて想いが詰め込まれているので実際に肌で体感していただきたいです。
○お問い合わせ先
1LDK annex
〒461-0001
愛知県名古屋市東区泉1-12-33
052-211-9546
info@1ldk-annex.jp
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
1LDK annex 杉浦
December 14, 2024, 6:30 PM
Category: PICK UP